桃太郎【Gulen】


「う・・・うつけ者だと!女の分際で、俺を馬鹿にするつもりか!」


 しかし、その言葉が金太郎の逆鱗に触れた。


 ただでさえ、気にくわない、輝夜姫の前。そのようなことを言われて黙っているほど、コイツは、女々しい男ではない。


 鉞を持ち上げて、咆哮をあげる。


 一瞬にして、宮殿にざわめきが起こった。


「よせ。イヌ吉、ここがどこだか考えろ。」


 仮にも、京の国の主、輝夜姫の前だぞ。


「止めるな、桃太郎、コイツは今俺のことを侮辱した。男して黙って見逃すわけにいかん!」


「よせと言った!お前の男の尊厳は分かるが、それ以上に主の顔を汚す気か!」


 貴様の主は、俺だぞ。


 お前の尊厳は分かるが、ここは俺の顔を立てろ!この筋肉バカ!


「グッ・・・・。」


 その言葉で、鉞を再び背中に収める金太郎。


 理解してくれたか。


 それにしても・・・・・・


 15人いる家臣のうち、姫の前に立った男が6人か・・・。


 ・・・・・よく、教育されていることだ。

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