桃太郎【Gulen】


「もう、良い。」


 その言葉を聞いて、姫の前に立った男たちが再び引く。


 しかし、剣に手をかけた姿勢は変わらない。


「うつけ者の上に野蛮人か・・・優秀な従者よのう。」


 コイツ!


「主の危機に逃げ出す家臣を持つよりは、マシだ。まあいい。今日は戦を申し込みに来たわけではないからな。」


 言うと、タケルは大きく息を吸い、感情を抑える。


 ・・・・・口車に乗るとは、半人前の言葉すら生ぬるい。


 武家の男たるもの、相手の言葉に一々反応するな・・・・。


 そうですな・・・父上、母上。


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