さよならさえも言えなくて
あたしには巧海の考えてる事が分からない。



半年の間にあたしたちの距離は少しでも縮まった?


巧海はなんであたしと付き合ったの?


あたしのこと、好き?


どうして“好き”って言ってくれないの?



聞きたい。

けど

恐くて聞けない。

そして、不安だけが募っていく。



それでもあたしは今日も、いつもと同じ時間に起きて、いつもと同じ電車に乗る。
そして、いつもと同じ車両に乗り、先に乗っていた巧海に「おはよう」と言う。

帰りは巧海の部活が終わるまで待って、電車に乗り、あたしが降りる駅で「またね」と言う。
全て、あたしから言って始めた事だ。


「巧海!おはよう」


電車の中へ入ると、ドアの側に寄り掛かっていた巧海の元へと駆け寄る。

学校までの20分間。
あたしはこの時間が大好きだ。
巧海と肩を並べて話せるこの時間が。
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