Memory's Piece
色鮮やかな南瓜からはふわりと甘い香りが漂っている。
瞬時に判断できるこの香り。
・・・・・この香り・・・、チョコレート??
袋を上機嫌で開ける桃亜姉と、いつも通りの顔で封を開ける波狼。頼兎もいつも通りだ。
これは勘違いかもしれない。うん、きっとそうだ。
心頭滅却を心がけて無表情で同じように封を開けながら、ガリッと思いっきり一口噛んでみると口の中に広がったのは間違いなくチョコレートだった。
「・・・・・何かコレ、キャンディな割には変な味わいだね」
チョコレートだ。間違いなく。
心の奥底が全力の抵抗をしようとしてる。
まぁ、つまりは全てを吐き出そうと体が動いている訳で。
それはなんとなく、頼兎に悪い気がしてボクは自分に言い聞かせた。
これはキャンディー。これは、キャンディー。コレハ、キャンディー。
他人に気を使うなんて、と何となく自分でもびっくりだけど。
「魅稀、・・・・・・・・ソレ、チョコレートじゃね?」
「え?」
条件反射で中身を吐き出そうとする自分を理性で押し殺してたら、波狼がポロッとほざいた。
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