Memory's Piece

「本当に?」と心配するうーくんに私はニッコリ笑って大丈夫よ。と伝えてなかば強引に送り出そうと彼の背中をグイグイと押す。

傍らに降り立つ気配に気付いたから。

『モモ、・・・・時間だよ』

頭の中に響くサナちゃんの声にもうそんな時間なのねと自嘲気味に笑って、私は戸惑ううーくんを送り出した。

最後に彼にしたお願いは私の我が儘。

私は、みーちゃんの奥深くに刻まれている人間だから。

あまりにも近すぎて、私には何も変えられないから。


「ねぇ、サナちゃん?」


『なぁに?モモ』


ちょこんと首を傾げる彼女はゲームの管理者の一人。

そして私を閉じ込める鍵。

無邪気で思慮深い意志を持ったゲームの一部。

私の問い掛けを促すように「モモなぁに?」と言う彼女に私は


「どうしても戻らなくてはいけないかしら?」


そう問い掛けた。

彼女には酷な質問。

絶句して固まるサナちゃんに私は苦笑した。

まるで虐めているみたい・・・・と。

確かにあそこは優しくて暖かくて穏やかでいつも平和。

嫌いじゃない。でも好きじゃない。

だってあそこは殺伐としたゲームの世界から隔離された私を拘束する真綿で出来た強固な檻だから。


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