dayaftertomorrow
「是非お逢いさせてください。お願いします」と言った

洋子さんは畑の場所を教えてくれた。歩いて数分のところだけど

実際に本人は車椅子だから10分はかかりそうだ

少し雨のせいで土がぬかるんでいて歩きにくかったけど

結構早めに着いた

雨具をつけた彼がビニールシートを直しているところだった

「おはようございます」私は勤めて明るく言った

ビクッとした感じで彼はそっと振り向いた

怯えている様子ではなかった

驚きのほうが多いんだろう

「何で?」彼のほうから私に質問をしてきた

初めてに近い状態だった

前に行った高尾山では私が一方的に話してたし・・・・

「何度か電話したんですがお留守のようだったので様子を見に来ました」

まだ直接話すべきではない

私は出会った喜びよりも拒バまれる怯えのほうが大きかった

でも彼から意外な言葉が返ってきた

「この間のお礼に、好きだって言ってたトマトを作っていたんだ

いつか渡せるように・・・一番早く作れるしね」

胸がジンとなった。高尾山での会話を覚えてくれていた

パスタをよく食タべる私はトマトが大好きだった

「よく覚えてくれていましたね?でもお礼だなんて・・・・」

「ううん、何だか自分でやりたくなったし運動にもなるしさ」

彼は明るく言った。前よりも顔色は良いみたいだ

「今日もお弁当を作ってきたんです。好きだといっていっていた煮物で

肉じゃがです!!」

「ありがとう・・・でも会社は?締め切り終わったから暇になった?」

「今日は日曜日ですよ。普通は休みじゃないですか?」

嘘をついた・・・それが胸に響いた

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