―White Memory―
その夜。
泣いて、泣いて、泣いて。
これでもかっていうくらい泣き明かしたあたしは、灯吾のスエットを抱きしめ
朝方ようやく眠りについた。
…だからなのかな。
―――懐かしい、夢を見た。
「何してんの。」
それは2年前の12月25日。
サークルの仲間6人で
長野県へ遊びに行ったあたしたちは、寂しいクリスマスを過ごしていた。
と言っても、誰ひとりとして寂しそうにしてる人なんかいなかったけれど
クリスマスを一緒に過ごす相手の居ない6人は、バカみたいに騒いで、お酒を交じ合わせていて。
「…なんだ、堀口くんか。」
「黄昏れ中?」
「まぁ、そんなとこ。」
その輪から外れ、白銀に輝くゲレンデをおつまみに缶ビールを飲んでいたあたしへ声を掛けてきたのが灯吾だった。
「中で飲まないの?」
寒いだろ、と言われ
あたしはまた一口ビールを味わう。
ビール独特の苦みが、口いっぱいに広がった。
「何か酔えなくて。」