―White Memory―
「信じられる?クリスマスなのに、彼女を放って専門の友達とパーティーって。」
本当、信じられない。
そう言いながら、自傷的に笑う。
確かに友達は大切だ。
でも、まさかクリスマスを別々に過ごすなんて思わなかった。
「しかも、この時間まで連絡なし。」
パチン、と携帯を開いて確認してみても着信はおろか、メールだってない。
「…あたしって、何なんだろ。」
バカらしくて
情けなくて、涙すら出なかった。
クリスマスを一緒に過ごせなかったこと。
彼があたしじゃなく、友達を選んだこと。
彼に選ばれなかったあたし。
何が引っ掛かってるのかはわからない。
そのどれでもあるような気もするし、どれも違うような気もする。
灯吾は黙ったまま
何を言うんでもなく、あたしの話を聞いてくれた。
それが何だか心地好くて、真っ白に染められたゲレンデをいつまでも眺めていられるような気がした。
キラキラキラキラ。
寒さなんて忘れてしまう程の一面、雪景色。
あの景色はきっと
一生忘れたりしないと思う。