―White Memory―
どうやらあたしたちは、居眠り運転をしていたトラックに横から突っ込まれたらしい。
あたしはエアバックのおかげで助かったけれど、その衝撃で灯吾は車外に放り出されてしまった、と。
そう言えば、あの瞬間
景色が回転していたような気がする。
あまりに一瞬の出来事だったから、初めて聞かされたその事実に思わず震え上がった。
そして生きていられ、軽傷で済んだのは運がよかった、と先生が言っていた。
だからこそ
瀕死だった灯吾が目を覚ましたのは奇跡なのかもしれない。
……でも。
「それ、本当なの……?」
「……うん。」
「そんな…。聖華の事も覚えてないなんて……、」
信じられない、とでも言いたげにサークル仲間でもあり、あたしの親友である美貴(ミキ)は口元を覆った。
もちろん灯吾とも顔見知りだから、美貴が驚くのは無理もないだろう。
視線を落とし、俯くあたしに美貴が躊躇いがちに言う。
「……大丈夫?…な訳ない、よね。」
あたしは何も言えなかった。