脱!? レンタルな関係。+for happy X'mas!+
「よう」
突然現れたオレに兄貴は驚いていたようだったが、
「直人くん! 来てくれたんだ。良かったぁ。
まさか彼女の方から電話くれるとは思ってなかったからさ。でもこれはチャンスだと思って直人くんの説得をお願いしたんだけどね。
あ、彼女っていうかそのお友達から電話が来たんだけどね。なんか、私のこと直人くんの浮気相手だと思ってものすごい剣幕で怒ってたけどね。ぶっ」
「……浮気相手……てか、すみませんでした。そういう友達なんです、あのオンナ」
まず嬉しそうに声をあげた……というか、ペラペラとはしゃいで話しかけてきたのは理恵子さんだった。
「彼女さんに説得されたんだ?」
「まあ、そんな感じです」
「イイ彼女さんね」
「イイというかヘンですけどね」
「ああでも良かったぁ。ね? 雅人さん?」
振られた兄貴の方はといえば、まだきょとんとした顔をしている。
が、しかしすぐに笑顔になって、
「本気で来ないかと思ったよ。お前だからな」
「来てやったんだ。感謝しろよ」
「そうだな。ありがとう」
「……ふん。礼を言うならアイツに言ってくれ」
「アイツ?」
「いや、何でも。明日の式が終わったら次の日の朝の便には乗って帰るからな」
「冬休みに入ったんだろ? もっとゆっくりして行けよ。日本と違ってこっちは暖かいしのんびり出来るだろ」
「その寒いとこで待ってるヤツがいるからな」
オレの言葉にふっと笑顔になった兄貴は、
「そっか。じゃ、帰ってやらないとな」
理恵子さんと顔を見合わせてくすりとほほ笑んだ。
……ったく。何だよ、その思わせぶりな笑い。
まるでオレの方がアイツに惚れてるみたいな顔しやがって。
言っておくが、逆だからな。