脱!? レンタルな関係。+for happy X'mas!+
「あ、あれ?」
辺りを見渡しているらしいコイツは、何やらブツブツつぶやいている。
(……ひとまず退散だな)
マジでふざけんなよ。
何でオレがゴキブリみてぇに床を這わなくちゃならないんだって話だ。
部屋の中の暗さを利用して何とか玄関まで戻ると、
――カタンッ
手に持っていたケータイが、壁にぶつかり音を立てた。
「やべ」
急いで靴を履き、玄関の扉を開く。
あせっている時というものは、たいていもうひとつ何かが起こる。
「くそっ。デカ過ぎんだよお前は」
持っているモノの大きさを忘れていた。
いつもの調子で開けた玄関ドアに、巨大な袋が引っ掛かった。
――ズリズリッ
チカラまかせで引っ張りだすと、これまた音が出た。
「……気づいたか?」
廊下の先を眺めてみたが、アイツが出てくる気配はない。
ほっと胸を撫で下ろしてから袋を引っ張り出すと、
「だだだだ、誰かいるのっ?!」
このアホが。
いきなり登場すんなっつーの。
ビビるだろ。
声とほぼ同時に付いた明かりから逃れるようにして、玄関ドアがパタンと閉まる。
「何をやってるんだオレは」
マンションの廊下を走り、エレベーターに乗ったオレは途方に暮れた。