問題アリ(オカルトファンタジー)




「どうだった?」



「わかりましたよ、大体。お聞きになりますか?」



「いいよ。明日になればわかるし、大体わかってる」



エレンはフィンの横になっている長椅子へと近付くと、フィンの腹の上にドカッと座った。


ぐへ、とカエルが潰れたような声が教会に響く。


恐ろしい速さで出て、恐ろしいほどの短時間でこの森の奥深くから都市部へと走って、調べて帰って来たにしては息一つ乱していない様子で、エレンは自分が頑張っている間に横になって楽をしていた主人を戒めるように、フィンの上でバウンドを始める。


う、ぐえ、え、とバウンドするたびに潰れた声が響く。


それでもニヤニヤと笑うその顔は変わらない。



「どうかしましたか?楽しそうですが」



「んー、家族ってそんなにいいものかなぁーって思ってね」



興味もなさそうに相槌をすると、エレンはまたジャンプをしてクルリと空中で一回転をし、猫の姿に戻ると、フィンの腹の上に着地した。


そして軽く首を振って見せる。



「あたしにはわかりませんわ。縁がありませんから」



「ははっ、俺もだよ」



そう言って笑うとフィンはエレンを抱きかかえたまま懺悔室へと戻り、大きなソファに座ると、そのまま眠りに付いた。


夜になれば仕事をしなければいけない。その時まで、安らかに。


日が昇ると同時に、蝋燭の火は消え、ステンドグラスの鮮やかな色彩が教会の床を照らした。


それに見とれる人は、いないが。





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