問題アリ(オカルトファンタジー)
「………だから、人になった時はその走り方止めろって」
折角『エレン』と名づけたのに…、なんて小さなため息を漏らして、フィンは書き留めた手帳をパラパラと捲る。
そして、テレジアが言っていた言葉を思い返し反芻する。
「家族、か。……人間は本当に見苦しいねぇ」
気味悪い静けさを持った教会の中に、小さな笑い声が響く。
第三者が間違ってこの教会を訪れていたのなら腰を抜かすほどに気味悪い状態である。
ニヤニヤと笑いながらフィンは手帳を閉じて、風もないのに揺れる蝋燭が乱す影を長椅子に寝転びながら眺めていた。
暫くして、フィンは手帳を閉じると心の中でカウントダウンを始める。
5。
4。
3。
2。
1。
0。
と、同時に荒々しく開かれたドアへと視線を向ける事無く、長椅子へと横になったまま声を掛けた。
誰が来たかなど見なくてもわかる。