僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ


「不眠症なんだよね」


サラリと発した言葉は、口にすると本当に脱力する。だからなんだと自分で言いたくなった。


「……は?」
「……え?」


重なった2人の声と、淡々とお吸い物を飲む彗に、笑いが込み上げる。


「いや、秘密? よく分かんないけど、あるとしたらコレかなーって」

「は? 不眠症って、お前それ大丈夫じゃねぇだろ」

「ね、寝付きが悪いだけなんじゃないの!?」


意外な食いつきに、あたしは目をぱちくりとさせ、「やだなぁ」と手を上下に揺らした。


「眠剤飲めば寝れるから、たいしたことないんだって! たまに薬の効き悪くて、寝付けない時もあるし、すぐ目が覚めちゃう時もあるけど。でも、納得できるでしょ?」


まるで他人事のように問いかけると、ふたりは除々に困惑の表情を消していく。


……納得するはずだ。あたしが夜型で遅くまで起きてることも、たまに早起きなのも、たまに彗と一緒に寝ていることも。


「彗は昔から知ってるから、あたしが寝るまで一緒にいてくれてんの。……ごめん、これ早く言うべきだった?」

「言うべきっつーか……無駄に納得できてムカつく……」


乾いた笑いを見せると、祠稀は肘を付いた手で額を覆った。


「……昔から、不眠だったの?」


有須が少し、神経質そうな表情で問いかけてくる。


ほんと、有須は細かいところまで気付くよね。
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