僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ
「いや、寝付き悪いのは昔からだったけど。中2くらいから酷くなってさ」
「その頃に、何かあったとか……?」
有須の言葉に反応したのは祠稀だった。あたしを見つめる瞳が、自らの過去と重ねてるように思える。
でもあたしは遺産を持ってないし、イジメられたこともなければ、虐待されたこともない。
「ううん。何も。……あたしは、みんなと真逆な人生だよ。あたしが同居人を募集したのはただ、おじいちゃん所有のあのマンションを昔から狙ってただけで」
うまく笑えなかったのは、本当に、あたしはなんて平凡なんだろうと思ったから。
みんなとは違うと一線引かなければならないことが、億劫だったから。それに気付いた祠稀と有須は、思うんだろう。
「……そっか。でも、よかったって言うのも変だけど。凪があたしみたいな経験がないなら、よかったなって思う」
「あー……まあ、俺らが色々あったからって、凪にまで何かあるとは限らねぇよな」
控えめに微笑む有須と、バツが悪そうにする祠稀は、思うんだろう。
――凪は、平凡に生きてきたからこそ。決して幸せなだけではなかった自分とは、違う考えを持ってるんだろう、って。
「……俺たちだけが特殊なわけじゃないけど。凪みたいな人もいるってことだよ。まあ寝付きだけは悪いけどね」
そして彗の言葉で、あたしはみんなが知る凪になる。
誰であろうと困ってる人がいたら手助けをして。どれだけ拒否されても、諦めが悪くて。差し出した手は握ってくれて、凪から手を放すことはしない。――って感じだろうか。