僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ


「ちょっと、彗? あたしだって悩みのひとつやふたつ有るんだからね!」

「……次の授業の小テストとか?」

「ぎゃー! 忘れてたー!」

「……小テストなんか、ちゃちゃっと解けるだろ」

「祠稀の脳みそと一緒にしないでくんない!?」

「あぁん?」

「大丈夫だよ凪! きっと簡単だよ!」


戻っていく。


流れるように、とても自然に、いつものあたしたちに。


祠稀や有須の中で、あたしはどれだけ綺麗な存在なのかな。


表面なんて、いくらでも作れるのに。



――ポタリ、ポタリ。


胸の奥底に、まるで黒いインクが染みわたるよう。

あたしは、
凪は、嘘で固められた存在。


嘘をついて、騙して、欺いて。それが成功するたび、サヤとの思い出が黒く塗り潰される。


ごめんね。

あたしは初めから、嘘ばかりだった。




【眠れない夜は
 朝まで宴をしよう

 集え
 眠れぬヒツジたち

 幸せに、なるために
 幸せで、あるために】



――あたしは、自分が幸せになりたいだけなの。


寂しがりなあたしを人の温かさで、囲ってほしくて。


……何度だって嘘をつける。壊れてもいい。どれだけ短くたっていい。


ひとりにならないためなら。愛されるためなら。


あたしは大事だと思う人ですら、欺ける。



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