僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ
◆Side:彗
「すーいー! 風呂っ」
ドンドン、とドアを叩く音に、俺は携帯をいじるのをやめた。
ドアに向かい開けると、濡れた髪にタオルを乗せた祠稀がもう一度「風呂」と口にする。
「うん、ありがと」
「うへー。相変わらず綺麗にしてんのな」
俺の肩ごしに、祠稀は部屋を覗いて口をへの字に曲げた。
部屋にはテーブルとベッド、あとはコンポや雑誌を置く棚しか置かれていない。
「……祠稀の部屋は、汚いよね」
「うっせ」
そう言いながら俺の額を叩いて、祠稀はキッチンにいる凪に声をかけた。
「ココア!」
「それが人に物を頼む態度か!」
風呂上がりにココアを飲めるなんて、恐ろしい。
凪と祠稀が言い争う中、俺はドアを閉め、すぐそばにあるクローゼットを開ける。
低音の洋楽が流れる部屋は必要最低限の物しか置かれず、私物はほとんどクローゼットの中だ。
冬が近づく季節。そろそろジャージも厚めの物にしなければ、朝晩は冷え込むから寒い。
確か、前に買ったジャージがどっかに……。
ハンガーにかかる私服や制服を掻き分けて、奥の棚を探す。
春夏用の服や、前期で使った教科書。古い雑誌やアルバムが並ぶ棚のあちらこちらに、買ったままの状態である袋が置かれている。
「……コレか」
記憶にあった黒い袋を手に取った瞬間、袋が何かに当たった。
バサバサッと大量に落ちたそれは、ピンクや白、水色や黄色と、カラフルなもの。