僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ
それなのに俺は、手紙を出すのをやめてしまった。
親戚が俺の面倒を見たがるのは、遺産目当てだと分かってしまって、人と関わることを拒んだから。もしかしたら、凪もそうなんじゃないかと疑ったことだってあった。
……ちょうど、その頃だ。凪の手紙から、温かさが失われたのは。
ぼんやりと、また封筒を手に取り、ふたつに折られた便箋を開く。
――彗、最近また寝付き悪いの。病院行ったほうがいいかな?
――彗、元気でやってる?
……あたしはね、ひとりでいる時がすごく寂しい。家が静かなのって、嫌だね。ひとりっ子って、損だと思わない?
最近サヤとね、逢えてないんだ。
――彗、席替えってした?
元彼と隣の席になっちゃった。あんなに好きだったのに、もうドキドキしないのは、なんでだと思う?
――彗、返事が欲しい。
逢いたい。話したい。
あたしの声、届いてる?
「……届いてたよ」
ずっと2枚だった便箋は1枚に減って、その1枚に綴られる文字さえ少なくなっていたことに気付いてたのに。俺は自分のことで一杯で、返事を出せなかった。
めちゃくちゃな順番で読んだ手紙は、俺のそばに封筒と便箋の山を作る。床に落ちてる手紙は、もう2枚だけだった。
――最悪だ。
強烈に記憶に残る手紙が、2枚とも残ってるなんて。