僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ
バカだと、思う。―――俺が。
あの日、パソコンで住む場所を探していたあの日。
懐かしい名前を見つけた瞬間、俺は手紙の返事を出さなかったくせに、凪ともう一度、一緒に住みたいと思った。
凪は、受け入れてくれた。
6年ぶりに会った俺を、ためらいもなく抱き締めてくれた。それが俺にとってどれほどの幸せを与えたか。どれだけの後悔をさせたか。
凪が俺の遺産を狙うわけないのに。助けを求めていたのは凪なのに、自分だけは求めて。今さらなんの用だと言われても、おかしくなかったのに。
「……ごめん」
そう、凪に伝えることはしなかった。……できなかったんだ。手紙のことを口にするのが、億劫で。
リビングに案内してくれた凪に、「寂しかったでしょ」と頭を撫でて、返ってきた言葉に泣きそうになった。
『彗が来てくれたから……もう寂しくないよ』
優しい凪は時に残酷で。今までずっと寂しかったと、言われたようなものだった。
伝わったのは、サヤが好きだという秘密は、俺しか知らないんだろうということ。
まるで束縛のような秘密の共有は、どんなものより重かった。
強要されたわけじゃない。押しつけられたわけでも、再び助けてと言われたわけじゃない。それでも俺は、守ると。そばにいると決めた。
『……本気の好きって、なんだろうね』
今にも泣き出してしまいそうな凪の横顔を見た時、決めたんだ。
償いの気持ちが少しもないわけじゃないけれど。
それより、もっと、もっと。いつか壊れてしまいそうな凪を、ほっとけなくて。
――ポタリ。
落ちた雫が、手紙の文字を滲ませていく。
すぐに涙を拭って手紙を拾い集め、それを小さな箱に片づけると、そのままクローゼットの奥に仕舞い込んだ。
涙の意味は、今はまだ考えたくなかった。