僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ
風呂を済ませてリビングに入ると、祠稀がテレビを見てる隣で有須が課題をしている。
俺に気付いた有須が「何か飲む?」と聞いてきて、思わず口元が緩んだ。
「え? え? 何?」
「……ううん。飲み物くらい、自分で取るよ」
「あ、そ、そうだね! 彗のほうが近いもんねっ!」
返事の代わりに笑みを見せ、すぐ隣のキッチンに足を向けると、「有須ドッジ~」という祠稀のからかう声。
「ド、ドジじゃないもん!」
冷蔵庫を開けながら有須の弱々しい反論に笑って、ふと気付く。緑茶が入ったペットボトルを取り上げ、リビングを振り返った。
凪は? と聞こうとしたけど、やめた。
ドアを開けたまま部屋へと入り、目的の携帯をテーブルから拾い上げる。濡れた髪をタオルで拭きながら、メールを見るために受信ボックスを開いた。
「……え?」
――ピンポーン。
2通届いてたうちのひとつは予想通りの人物だったけど、そうではなかった人物からのメールを確認した瞬間、チャイムが鳴った。
「誰だよ、こんな時間に」
開け放たれたままのドアを見ると、ちょうど祠稀が立ち上がったのが目に入る。
俺はインターホンを鳴らしたであろう人物の名前を祠稀の背中に告げた。
「多分チカだよ」
「はぁ!? なんで!」
訪問者を確認するために受話器の隣にあるモニターをつけた祠稀は、「マジか」と呟く。
「さーむーいー!! 早く入れて!!」
受話器を取った瞬間に聞こえた大声は、確かにチカのもので、
「何様だアイツ」
と祠稀がこぼしたひと言に、俺と有須は笑った。