僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ


「んでなんか、凪がすっげーサヤのこと好きなの知ってるみたいで。幸せになってほしい、拠り所ができればいいって、家出るの許したっぽい」


ってことは、中学の頃の凪は、サヤにしか拠り所がなかったと俺は解釈するわけで。


「……ねぇ、祠稀? せっかく家を出ることを許したのに、今もサヤさんと会ってること知ってるの? 凪のお父さん」

「……」


目を見開いた俺に、有須は苦笑する。


「……それ、バレたらまずくないかな」


まずいだろ、どう考えても。いくら優しさでできてても、さすがに今度は怒るだろ。


つうか、サヤがこっちにいるんだから、最悪連れ戻されるんじゃね?


「いやいやいや、まずいだろ!」

「気付くの遅いよ」

「いや、うるせぇよ!」


ちょっと待て、落ち着け俺。

考えろ、考えろ。


マグカップからゆらゆらと上昇する湯気を眺めて、俺はすぐに携帯を手に取る。


「……どうするの?」


俺は有須の顔を見ずに、携帯を耳に当てながら答える。


「サヤと直接話す」

「えっ! ……早坂さんと?」

「そう」


一度しか面識はないけど、アイツに聞けば大体のことは分かるだろ。目的は、それだけじゃねぇけど。


『はいはーい。どしたの祠稀。枢稀がうるさいから、手短にね』

「今すぐ調べてほしいケー番があんだけど」



早坂には、凪から手を引いてもらう。


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