僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ
「……変態野郎」
ありったけの皮肉を込めて祠稀がそう言うと、サヤさんはあろうことか声を出して笑った。
あたしも祠稀も目を見開いて、言葉が出ない。
クックッと喉を鳴らすサヤさんは目尻を拭い、あたしたちを見た。
「それ昨日も凪に言われたんだけど、俺そんなに変態な雰囲気出してる?」
昨日、と聞いて胸がざわつく。
そうだ、昨日サヤさんは凪と――…。
「まあ、変態か。中学生の凪を抱いて、一緒に住んでたみたいなもんだしねぇ。……あ、俺ね、地元は凪と一緒。今年の夏前にこっちの病院勤務になったから」
さらりと凄いことを言ってくれる。でもそういえば、凪もほぼ毎日一緒にいたと言っていた。
それに夏前って……あたしの問題が解決したあたり?
悶々と考えていると、祠稀は思い出したようにサヤさんに問いかける。
「凪とアンタが今も会ってること、凪の親父は知ってんのか」
「……いや? 知らないんじゃない? ていうか、バレたら困るかな」
そう答えたサヤさんに苛立ちを感じながらも、凪が連れ戻される心配はないみたいでホッとする。
バレなければそれでいい。今は、だけど。
「つうか、バレるとかこっちはマジ勘弁だから」
「……祠稀くんは、凪が好きなんだ」
「だったらなんだよ」
「いや、抱かないのかなぁと思って」
「……は?」
な、にを、言ってるんだろうこの人……。