僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ


「祠稀っ!」

「……おー。ワリ、キレた」

「ううん、スカッとした!」


隣に並んでそう言うと、祠稀は鼻で笑う。


「有須も悪になったな。誰のせいだ」

「祠稀のせいだよ」

「人のせいにすんな」


そう言いながら笑う祠稀を見て、ほっとする。


怒り狂って話ができなかったから、どうしようかと思ってたから。


「つーか、腹立つのもあるけど、何気にショック。勝手に、サヤってイイ奴をイメージしてた」

「あたしもだよ。凪が好きな人だもん……全く逆だったね」

「あれのどこがいいんだ。やっぱ病気治してもらったからか?」


そう、分からないことだらけだ。


「……あのね、さっきサヤさんが言ってたんだけど。じゃあ祠稀は、凪を幸せにできるのかって。……凪の気持ちは、彗以外には理解できないって言ってた」

「あぁ!? 自惚れんなあのド変態!」


うん、そう。

分からないことだらけなのは変わらないけど。凪の気持ちは彗にしか理解できないなんて、もう思わない。思いたくない。


「つーか、凪。あいついっぺんシメるか」

「え!? なんでそうなるの!?」

「人には散々周りを頼れだの言っといて、お前はどうなんだっつー話だろ」

「……まあ、そう、かな?」


でもシメるのはよくない。穏便に、慎重に……って言っても祠稀の闘争心は燃えあがってるみたい。


……あたしも、サヤさんとの関係は続けてほしくない。凪には、幸せになってほしい。


例え凪が、今どれだけ苦しくても、サヤさんといるのが幸せなんだと言っても。あたしは、応援してあげることはできそうにないから。


心の中でごめんと、凪に謝る。


これが、最後。あたしと祠稀は、凪に謝ったりしない。これが自分で選んだ、正しいと思う道だ。あたしはあたしが思った道を、迷わず進んでいい。


そう教えてくれたのは凪、あなただよ。

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