僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ
「じゃあいってくるね」
「いってきます!」
――行かないで。
「いってらっしゃい」
まるで、スローモーションみたいだった。
ドアが開いて、サヤが外に出てドアが閉まるまでの間、あたしは何度“行かないで”と思ったんだろう。
けれど現実は、ガチャンッと虚しい硬質な音を立てドアが閉まる。
「……っ」
力が抜けたように、あたしはその場に座り込んだ。泣き崩れたと言ったほうが正しいかもしれない。
行かないで。
行かないで。
行かないで。
手を繋いで、温もりをちょうだい。
もっとそばにいて、抱きしめてよ。
溢れる涙を、拭ってほしい。
伝えたいこと何ひとつ言えてないのに、あたしの想いは伝えることすら叶わない。
伝えられなくたって、誰より愛してるのに。
……どうして。
どうして、あたしじゃダメなの。
子供だから? まだ未熟だけど、女の体になってきたのに。
誰より長く時間を共有したはずなのに。誰よりそばにいたのに。
どうしてなの、サヤ。
もう嫌だ。
分かってるよ。あたしは娘でしかない。それを再確認するのも、させられるのも、自分に言い聞かせるのも疲れた。
いい子のふりするのだって疲れた。
吐き出せない想いを溜め込むことも、もう疲れたよ。
……寂しい。
寂しい、
寂しい、寂しい、寂しい寂しい。
愛されたい。