僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ
――バンッ!!
猛スピードで向かった先に、ベッドに寝転ぶ人影を捉える。そのまま力の加減も分からず上から圧しかかった。
バチッと開いた瞼の奥が、睡眠を妨害した存在を見上げる。
「……は? ……凪? 何して、」
「抱いて!!」
「……は?」
「大人なんだから抱けるでしょう!?」
「ちょっ……意味が分かんないんだけど」
「セックスしてって言ってるの!!」
寂しい。寂しい。求めて。愛して。
誰でもいいから、一時でいいから。あたしだけを見てよ。
「凪……お前、聞いたのか?」
上半身を起こした早坂先生をきつく眉を寄せて睨む。
そんなものは虚しく、ここに来るまで眼の奥にいっぱい溜まっていた涙が、一気に溢れ出した。
「そーすけさんが好きなんだな……」
喉の乾ついたような声が、鼓膜を刺戟する。あたしは否定も肯定もせず、雪崩れるような声で咽び泣いた。
苦しい。寂しい。悔しい。
痛い。怖い。憎い。
色んな感情が爆発して、わけが分からなくて。その感情ごと体が消えればいいと思った。消えたいと思った。
色に例えるなら黒ばかりの感情が、あたしの体を蝕む気がする。
だけどただひとつ、黒の中心で赤い感情が燃え盛る。
いっそのこと全て黒で塗り潰してしまいたかった。
呑み込んで、また燃えて、塗り潰して、また滲んで。
頭の中で、心の中で、全身で消そうと何度繰り返しても無意味だった。
その赤は嘘のように温かくて、じわじわと熱を持ち出す。
こんなはずじゃなかった。
こんな熱情を知りたくはなかった。
叶うはずのない愛が。赦されない愛が。
心の奥底に根を張って、真っ赤な花を咲かせる。
幾度枯らしても何度朽ちさせても、幾度も再生を繰り返すそれは、永遠を思わせた。