僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ
「凪っ!」
季節は冬に差しかかり、朝帰りをしたある日、ブーツを脱ぐあたしの前にサヤが現れた。
ふたりが寝てる間に帰ってきたはずなのに、サヤは寝ずに起きてたらしい。目が、赤い。
「また連絡しないで。どこ行ってたの?」
「久美の家だよ」
素っ気なく嘘を言ってリビングへ向かうと、サヤが追ってくる。
「冬休みはしょうがないと思ってたけど……今日だって学校あるんだから」
「あーもー。分かってるから。ちゃんと行くよ」
あたしはここ最近ずっとイライラしていた。
2年生になってからというもの、遊びに出かけることなんて幾度となくあったのに、最近になってサヤが口うるさくなってきたからだ。
今まで何も言ってこなかったくせに、今さら夜遊びしていたことに気付きましたと言わんばかり。
「っ! ……何……」
ココアを飲もうと冷蔵庫にかけた手を、後ろから掴まれる。
「俺が出すから座ってて。……少し話そう」
「……何? 話すことなんてないよ」
振り向いて、掴まれた手を自分に引き寄せようとしたのに、サヤは明らかに強く握り、離そうとしてくれない。
「離して。お風呂も入らなきゃいけないんだから」
セックスをした後にお風呂に入らないことを、この日初めて後悔した。
体中についた男の匂いを、サヤに気付かれたくない。
「凪……どうしたの。最近ちょっと、凪らしくない」
……最近?
思わず鼻で嗤いそうになるのを、無理やり笑顔に変えた。
――そんなに頭は緑夏ちゃんでいっぱいか。
「何言ってんのサヤ。あたし元々こんなんじゃん」
凪らしくない?
いい子じゃなくなったって言いたいの?
そんなもの、猫被ってただけなのに。