僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ
『おじいちゃん。あのマンションに住みたいの』
限界を越していたあたしの選択は、ただひとつだった。
家を出る。
その選択肢以外は頭になくて、遠く離れて住むおじいちゃんを頼った。
お母さんやサヤのように、若い内から自立してみたいからと。
さすがに1度の電話で了承を得れたのは意外だったけど、それに越したことはなかった。
問題は、サヤだった。
緑夏ちゃんと付き合ってると告げられてから1年。誰のせいだとサヤに怒鳴ってから数ヵ月で家を出ると言い出したのだから。
寂しがりのあたしが誰も知る人のいない土地に行くことさえ、サヤにとって想像できないことだったと思う。
あたしを心配してくれてる。その気持ちだけは嬉しかった。揺らいでしまった。
だけど、もしかしたらサヤはあたしの気持ちに気付いてるかもしれない。その考えが、よりいっそう家を出なければという思いを強くした。
行きたい高校がある。自立してみたい。高校の間だけでいい。
嘘を並べ、極めつけは多分『サヤには感謝してるけど、自分の人生は自分で決める』と強く言い放ったこと。
サヤが好きそうな言葉だ。
入学願書を出す期限ぎりぎりで、サヤはやっと首を縦に振った。
『ひとりでは暮らさないこと』
たったそれだけ、条件をつけて。
あたしは変わるために家を出るんだ。
サヤへの想いを断ち切って、誰に抱かれることもなく、幸せだと思える環境で3年間過ごして、必ず娘としてサヤと過ごした家に戻る。
それがあたしの家を出る目的だった。
ネットで募集して何人かと会ったりもしたけれど、けっきょく同居人を見つけることができないまま、あたしは中学卒業と同時に家を出た。
最後まで駄々をこねていたサヤと、それを宥めながら頑張ってねと涙ぐんでいた緑夏ちゃんに、『いってきます』と笑顔だけ残して――…。