僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ

――――…


「……何これ」


昨日は眠剤を飲んで寝たから、疲れも相まって目が覚めたのは昼前。


深夜3時頃にネットで同居人を募集したあたしは、メール受信の数に眉を寄せる。


9件なんて、今までで最多だ。しかも1日も経ってないのに。


ボタンを操作し、上から順に読んでいく。


安い……立地条件最高……そんな感想がつけられているのはいいけど、募集要項に18歳までと書いたにも関わらず、20歳の人もいた。


「ダメじゃん」


どの人もピンとこないな……。


ソファーから体を起こして乱れた髪を撫でる。キッチンへ向かいながら、残りのメールを開こうと思った時だった。


3通の未読メールの受信時間が、異様に早いことに気付いた。


――03:34
――03:45
――03:58

あたしが募集したのは3時過ぎだったはず。


「ひなた……、ひゅうが、かな」


≪日向 祠稀。男、15歳。

4月から高1。家賃は払える。

できるならすぐ引っ越したいと思ったし、同居とか面白そう。

あとあの文章。気が合いそう。≫


冷蔵庫からココアを取り出し、グラスに注ぎながら次のメールを見る。


≪Nagiさん、初めまして。

阿 有須(いのうえ ありす)といいます。

募集要項拝見させていただきました。4月からドリームマンション近くの高校に入学するにあたり、引っ越し先を探していました。とても魅力的に感じたので応募させていただきます。両親の承諾も得て、家賃の問題もないです。

あの、変なことを言うようですが……。

“幸せになるために、幸せであるために”

叶うなら、ぜひ同居させていただきたいです≫


「……」


グラスを口に付け、ココアを喉に流し込む。最後のメールは、誰よりも短かった。


「!?」


派手に咽て、危うくグラスを落としそうになる。


予想しえなかった事態。懐かしいようで、そうでもない人物からのメールは彼らしかった。


≪凪、久しぶり。

また一緒に、住みたい。≫



「……彗……?」

< 555 / 812 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop