僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ


彗がどう話したか知らないけど、だいたい想像はつく。


「あたしがサヤを想ってることを言わなかったのは、秘密にしてたんじゃない。消さなきゃいけないから、最初からなかったことにするから、話さなかったんだよ」

「消せてねぇじゃん」

「……だから、これからそうするの。何もしてほしくないの。あたしの問題なんだって……分かるでしょ?」


お願いだから、ズカズカと土足で、あたしの心に入ろうとするのはやめてほしい。


あたしは受け入れることなどできないんだから。


「俺の時もそうだったろ。あれは俺の問題だった。お前らには関係ないって言っても、お前はどこまでも追いかけてきただろーが」

「だからっ! それは自分のためなんだってば! 祠稀のためじゃない!」

「俺もそうだけど」


――ダメだ。


祠稀は、早坂先生になんて全く似てない。あたしを助けようとするやり方が、根本的に違う。


「お前のためじゃねぇ。自分のためにすんだよ」

「やめて」

「何が? 気付いてたろ。知って、分かって、言ったのはお前じゃねぇか」

「やめてってば!」

「どこにも行かないで」

「……」


言ったよ。確かに言った。利用しようと思って。そばにいてほしくて。


『行かねーよ』

そう言ってくれたけど、その時はそう言って欲しかったけど、嬉しかったけど、でも恋愛対象になんか見てない。



「凪。俺はお前が好きだよ」


それが当たり前だと言わんばかりの、真摯な告白。


……好きって言葉が、好き。

聞いて嬉しくなるし、幸せになれるから。


だけど、祠稀には言われたくなかった。あたしなんかを好きになってほしくなかった。


「……ねぇ、知ってる? 彗って、祠稀と有須のことが大好きなんだよ」

「お前はって聞いたら、大嫌いだとでも言うつもりかよ」


さすがだ。よく分かってる。それなら、言葉を変える。



「どうでもいい」



祠稀の気持ちなんて、どうでもいいよ。
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