僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ
「お前、彗が死んだらどうするつもりだよ。互いに依存してるお前らがひとり残されたら、お前らに残るもんって何?」
「離してっ!」
「ああ、“話して”やるよ」
馬鹿じゃないの。
黙れ。その口を閉じろ。
「今しかいらないって言ったな。永遠なんてないと思ってんだよな? だったら彗だって永遠に生きてるわけじゃねぇことぐらい分かってんだろ」
「うるさいっ! 離せ!」
「不死身じゃねぇんだよアイツは!」
暴れるあたしを止めたのは、リビング一体に響く祠稀の怒鳴り声だった。
あたしを見下ろすふたつの眼。その底には、確かに凄まじい嵐が潜んでいる。
「彗はただの人間でいつか死ぬし、なんでも言うこと聞く人形でもねぇんだよ」
「……なんなの……彗とあたしの関係なんて理解できないって言いたいの?」
もう嫌だ。話したくない。
祠稀の言葉は、あたしの胸を抉る。
「彗だけに依存すんなって言ってんだよ。なんでそれが分かんねぇの?」
「~っだから! 彗の話ちゃんと聞いてた!?」
言ったはずだ。絶対。祠稀にも有須にもできることはないから、頼らなかったと。頼る気すらなかったと。
「緑夏さんを殺したい、って?」
「――……」
……は? 誰が、誰を?
「何バカなこと言ってんだって怒鳴ったら、涼しい顔して、ほら頼りにならないって……」
「そんなこと頼んでない!」
「だったらよく考えろよ!!」
ハァッ、と。怒りが交じった溜め息があたしを責めるよう。
泣きそうだ。
知られるはずじゃなかったのに、さらにこんなどちらも譲らない言い争いをするなんて。彗がそんなことを言っていたなんて。予想外な出来事が続きすぎてる。
頭がぐちゃぐちゃで、もうこんな思考すら止めてしまいたい。
「喧嘩しないで……」
「「!」」
震える小さな声が背後から聞こえ、祠稀はその方向を見たけれど、あたしはすぐに振り向けなかった。
こんな状況で、いつもと同じような言葉をかけてくるなんて。
本当に、泣きそうになる。