僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ
馬鹿だなぁ……。
信じちゃダメって言ったのに。
嘘か本当か、量りかねてる。でもそれが正しい。それでいい。
嘘つきだと分かってる人を目の前にすると、気持ち悪くなるでしょう? 神経が疲弊するでしょう?
騙されてるのか、そうではないのか。今、考えてるって分かるよ。
「そんなに疑わなくてもいいのに」
肩を揺らすふたりは、疑った自分の思考を必死に掻き消すはず。
あたしに何を言われようが、自分のやりたいようにすると決めたんだもんね?
「無駄だから、全部。ふたりがどれだけ頑張っても、あたしはそのたび嘘をつく。……って言ったらどうする?」
いよいよ困惑してきたふたりに、あたしは尚も続ける。
「今、あたしは何がしたいのか、何を思ってるのか分かんなくて気持ち悪い? それじゃダメ。それでいい。分かる? あたしが言いたいこと」
黙るふたりは、あたしを別人だとでも言いたげな顔だ。
単純で、素直で、騙されやすい。そんなふたりが好き。だからふたりにあたしは救えない。
だからそのままでいい。救ってほしくなんてない。
「よく考えて。ふたりがしようとしてることは正しいのか、間違ってるのか……」
「じゃあ今のままでいることが正しいっつーのかよ!」
「さぁ。人によって何が正しいのかは違うと思うけど……あたしを救おうとしてそれが逆効果だったら、おかしいよね」
間違ったらどうしようね。
逆効果だったらどうしようか。
あたしを救いたかったのに、死に追いやってしまったら笑えないよね。
「よく考えて。……おやすみ」
踵を返す前に微笑んで、彗の部屋へと向かう。
リビングが冷気と沈黙に包まれて、あたしが歩を進めるたび、足元から徐々に亀裂が広がっていくような気がする。
パキパキという聞こえもしない音が、あたしには確かに聞こえた。