僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ


ドンッと彗の肩を押して、あたしもそのままベッドに倒れ込んだ。

少し驚いたような彗だったけど、すぐに微笑んでくる。


寝転がって向き合うあたしと彗は、あの頃と変わらない。


幼くて、寂しを埋め合ったあの頃と同じように、どちらからともなく手を繋ぐ。


それだけで涙が出そうなくらい、安心する。


あたしをこの世界に留めてくれる、唯一の温かさ。


……ねぇ彗。

君も、同じだよね?


「凪」

「うん?」


絡まった指を強く握って、目を閉じる。


彗が言う言葉は分かっていたから、耳だけで、聞きたかった。


「俺がいれば、幸せでしょ」

「……うん。ありがとう、彗」


――ありがとう。

そうもう一度呟いて、お互い黙った。


……愛しくて堪らない。この空間も、彗自身も。


ずっと触れていたくて、抱き締めていてほしい。きっとそれは、彗も同じだよね。


だけど彗は、ちょっとあたしと違う気持ちを持ってるでしょう?


彗は、“颯輔さん”が大好きだよね。誰よりも尊敬する人なのに、幸せを願ってあげたいほど大好きなのに。


あたしの“サヤ”に対する愛憎が、彗を苦しめる。


サヤの幸せが壊れればいいって、そう願っちゃいけないのって。あたしが言っても彗は否定も肯定もせず、微笑んで抱きしめてくれる。


そうすることしか、できないから。


知ってるよ、ちゃんと。


祠稀と有須のことも、大好きだもんね。それなのに、あたしのためなら酷いことも言えるし、切り捨てることもできるんだ。


――ごめんね。

また手首を切らせてしまって。

――ごめんね。

苦しいのに、つらいのに、いちばんにあたしを大事にさせてしまって。



『守ってあげる。そばにいてあげる。凪が望むまで、ずっと、一生でもいいよ。俺だけは、凪の味方でいる』


――ありがとう、彗。

あたしの幸せを願ってくれて、ありがとう。


だからもう、何も望まない。



今度はあたしが、彗の幸せを願ってあげる。



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