僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ
◆Side:彗
今までこんなに気まずい朝が続いたかなと思ったけど、そういえば何度もあったなと気付く。
でも毎回、必ず3対1だった。
誰かがひとりで遠くへ行こうとするから、他の3人が結束して追いかけようとしていたんだ。
「――俺、先行くから」
部屋から出てきた祠稀はブレザーを羽織りながらそう言って、テーブルに並んだ朝食を見ようともしない。
椅子に座ってココアを飲む凪のことも、キッチンに立つ俺のことも。
「祠稀、もう行くの?」
腰を上げた有須は祠稀に近寄って、何か会話をしてる。
「お前も無理すっことねぇぞ」
「……してないよ。待って、お弁当……」
「俺はそこで飄々とココア飲んでる奴と飯なんか食いたくないね」
「祠稀……!」
「「……」」
有須に腕を掴まれた祠稀はそれに反応することなく、凪を見つめていた。見下すような、怒ってるような、そんな瞳をして。
反面、マグカップを置いた凪は祠稀を見返して微笑んだけれど。
「早いね。いってらっしゃい」
俺は凪の笑顔を最後に、祠稀を見るのをやめた。
軽い舌打ちと荒い足音だけを耳に入れ、俺は祠稀の気持ちを考えてみるけれど無駄でしかない。
「っ凪! どうしてあんなこと言うの!?」
……やめといたほうがいいのに。
朝食を乗せた皿をテーブルに運ぶと、凪の「やだなぁ」という明るい声がリビングに響く。
「祠稀が言ったんだよ? あたしとご飯食べたくないって」
「でも! ……あんな……」
笑っていってらっしゃいは無いって言いたいんだろう。でもそんなことを言ったところで、凪には何も届かない。
「……じゃあ、この前はごめんって言えばよかった? 思ってないのに言うほうがひどくない? それとも、あたしだって食べたくないわ!って怒ればよかった?」
黙って席に座ると有須の視線を感じたけれど、見ることはなかった。