僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ
――――…
「……なんでチカと連絡取ってるの?」
携帯を取りに一度マンションへ戻った凪は案の定遅刻して、教室に来てからもずっと携帯を手放さない。
「なんでって、チカもーすぐ受験じゃん」
1時間目が終わった休み時間、凪は携帯から隣の席に座る俺へ視線を移した。
「推薦入試まで2ヵ月切ったし、その前にパーッと遊ぼーって」
「……チカ推薦枠取れたんだ」
「本人は受かる気しないらしいけどね。どっちみち一般入試でも大丈夫じゃないかな。この前の県模試で合格率S取ったってよ?」
「ふぅん」
……まあ、枢稀さんが付きっきりで勉強見てるなら当たり前なのかな。というか遊ぶって、どこで?
さすがに今はチカと仲良くしてるところを祠稀に見せると、余計に険悪になると思うんだけど……それもわざと?
俺の思考が読めたのか、凪は声を出して笑った。
「大丈夫だよ。外でふたりきりで会うから」
「今日?」
「ううん、いつにする?って決めてるとこ」
そう言うと凪は唇を閉じて微笑み、メールを受信した携帯に視線を落とす。
俺は机の上で重ねた腕に顔を伏せて、教室の廊下側へ目を凝らした。有須と祠稀の周りに、男女交じった数名のクラスメイト。
――俺たち4人はいつも一緒にいるわけじゃない。
ちょっと前までだって、確かに一緒にいることは多かったけど、常に4人で固まってるわけじゃなかった。
クラスメイトの他に有須と祠稀には部活仲間、凪には他のクラスにも先輩にも友達がいる。
……凪は友達が多いけど、有須や祠稀みたいに心は開いてない。
凪は開いたふりをしてるだけで、根本的に俺と一緒だ。
祠稀に連れられてサッカー部の練習に交じったりすることがあったし、クラスメイトにだって挨拶くらい交わす人だっているけど、その程度。
俺は必要であれば話すだけ。必要なければ1週間、1ヵ月、平気で話さない。
それが俺と凪、有須と祠稀の差だと思う。