僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ
帰りのホームルームが終わると、各々がそれぞれの放課後を過ごし始める。
「なんだよ祠稀、もう帰んの?」
「部に顔出せよっ!」
鞄を肩にかけて立ち上がると、そんな会話が耳に入った。見ると、教室から出ようとしていた祠稀がクラスメイトに引き止められている。
「俺はねみーんだよ! 帰って寝かせろ!」
返答も待たずに教室を出ていく祠稀にクラスメイトは成す術もなく、その姿を目で追っていた。
それは廊下側の1番前の席に座っている有須も同じだったようで、祠稀の姿が見えなくなると少し首を垂れる。
俺は少し悩んで、有須の背中を目指して足を進めた。
「彗……」
気配に気づいて振り返った有須は力なく言葉を発し、俺を見上げる。
僅かに顔色がよくない気がした。
「……今日部活だよね」
「え、あっ! うん、そう……あの、でも」
「……終わった頃迎えに行くから」
来なくていいと言われる前に告げると、俺を見上げていた有須の瞳が揺れる。
「……俺が嫌なら、大雅――」
「っ嫌じゃないよ!」
「……」
「あ……ご、ごめん。大声出しちゃって……その、本当に嫌とかじゃなくて……」
頬を赤らめて、しどろもどろになる有須が言いたいことは分かっていた。分かっていたのに、俺の聞き方が意地悪だっただけだ。
「……遠慮したんでしょ。いいよ、俺に遠慮なんかしなくても」
部活終わりの有須を迎えに行くことは、もう随分続けてきたのに。有須も毎回ごめんねって言いながら、ありがとうと受け入れていたのに。
ここにきて有須が遠慮するのは、俺たちの関係がぎくしゃくしていることを明確にしてる気がした。
「……じゃあ、お願いします」
それでも有須はやっぱり、悩みながらも逃げないんだね。