僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ


ちらりと窺うように見上げてくる大きい瞳から、俺はいつも目を逸らしたくなる。


「……いつものとこで」

「うんっ! いつものとこで」


細められた瞳にだって、泣きそうになる。俺に向けられる視線からも、笑顔からも目を逸らしたくて。だけど同時に泣きたくなるんだ。


そんなことは、誰にも言ったことはないけれど。


控えめに手を振る有須に微笑み返して背を向けると、「あ!」という声に引き止められる。


「あ……あの、えと」


振り向いた俺に有須は視線を泳がせて口を噤み、意を決したように真っ直ぐと俺を見上げた。


「……どうしたの?」


視線をぶつけてくるだけで、なかなか口を開かない有須に首を傾げる。


「なっ、仲良く……!」

「……」

「仲良く、しててね」


……またそうやって。自分がどうするべきか悩んでるはずなのに、祠稀とのことまで気にして、有須が心を擦り減らすことはないのに。


「……喧嘩したら、有須が止めてね」

「えっ!? するの!? え、と、止めるけど……!」

「じゃあ大丈夫だよ」


微笑むと、形容しがたい表情をする有須。


仲良くするともしないとも言えず、俺は曖昧な返答をして教室から出た。


……仲良くしてと願う有須にありがとうと言いたい。だけどきっと叶えてあげられないから、ごめんと言ってしまう。


あれだけ傷付けたくないと、守ってあげたいと思っていたのに。


俺は何度、自分の言葉で有須を傷付けたんだろう。


きっとめちゃくちゃに傷付けたのに。それでも向かってくる有須だから、俺は目を逸らしたくなるし、泣きたくなるのかもしれない。
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