僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ


自分の心に居座りつくわだかまりを感じながら、校舎を出て帰路についた。


決して溶けあわない感情がぶつかり合って、その振動が頭にまで伝わってくる。


こめかみを押さえながら眉を寄せると、通りかかった公園で遊ぶ子供たちが目に入った。


小学3年生くらいの男女が見事に分かれているけれど、自分は通らなかった生き方に思わず足を止めた。


「待ってー! はやいよぉ」

「おそい!」


横を走り抜けた男の子が振り返って、俺も僅かに後ろを見遣る。小学生の女の子が息苦しそうに走って、俺の横を通り過ぎると、男の子は「はやく!」と言って駆けていった。


先に公園にいた子たちと友達だったのか、ふたりが来ると、分かれて遊んでいた男女がひとつになる。


高く、よく響く笑い声。それに見合った無邪気な笑顔。


それらを耳に入れて、目に焼きつけて、止まっていた足を進める。


はしゃぐ子供たちを見て思うことは、沢山あった。だけどそのどれもが虚しく、また胸にわだかまりが積もっていくから、考えるのをやめた。


芽が出た草花を摘んで、最初からなかったことにするみたいに。手に負えなくなる前に摘んで、捨てた。


例え、根が強く深く残っていると分かっていても。


……今日もなんか、ダメだな。


この前の凪と祠稀の言い争いを聞いてから、やけに落ち着かない。


胃もたれとか、胸やけとか、そんな類の気持ち悪さがずっと喉の奥にあった。


痛く感じるほどの冷気に肩を縮めながら、白い息を吐く。


寒い。

もう本当に、嫌になるくらい寒い。


帰ったらまず熱すぎるくらいの珈琲を淹れようと思いながら、マンションへの道をひとりで歩いた。



まさか出かけてるか寝てると思っていた祠稀が、血相を変えて飛び出してくるとは思わずに。


< 578 / 812 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop