僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ


「出ないって分かってるから?」


自分が気付くより先に言い当てられて、目を見開く。


「いつものお前なら、真っ先に電話するか探しに行くだろ」


……そうだね。……そうかな。


そうすると思って俺に電話しろと言うなんて、試した以外のなんでもないよね。


でも、だって、分かるんだ。


電話なんかしたって、凪は出ないってこと。無意識にそれを感じて、電話なんかしたくないって思うくらいには。


嫌だよ、電話するなんて。


いつまで経っても止まないコールも、その内コールすら聞こえなくなるのも、分かり切ってるのに。


それでも電話して、探しに行くなんて、自分を暗い暗い現実に追い込むだけだ。


凪を追いかける分だけ、自分が追い込まれる気がしてならない。


だって凪は、俺を置いていったから。


そんな現実を感じるのは、一度で充分だよ。



「お前が逃げてどうすんだよ」

「……」

「だから言っただろーが。互いに依存してるお前らがひとり残されたらって。……彗、お前今、何考えてんの?」

「……祠稀には分からないよ」

「あ?」


祠稀には分からない。分かってない。分かってもらわなくて……やっぱりダメだ。無理だ、こんなの。


仲良くなんて――…。


「おいっ!」


祠稀の横を通り過ぎようとしても、腕を思い切り掴まれた。


その細い体のどこにそんな力があるんだと思うけど、それを振り払う力は俺にだってある。


「ひとりで平気だよ……っ」


……そんな顔をしなくても、俺は平気だ。そんなに怒らなくたって、そんなに不安そうな顔をしなくたって。


「大丈夫だから……ほっといて」

「何がどう大丈夫なわけ」


……ああ。ほら。だから嫌なのに。


「あの時みたいに部屋に籠って、手首でも切るか? 切りたきゃ切れよ。気の済むまで、何回でも。けどお前がひとりになるのも、死ぬのも、許すわけねぇだろ」


これ以上何か言われたら、いらぬことまで口に出てしまいそうで。


ほっといてくれれば、きっとそれをしなくて済んだ。

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