僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ


―――――――――

 みんなへ



 嘘ばかりついて、騙してばかりで、ごめんね。


 だけど許してほしいなんて思ってないよ。謝るのは自分のためじゃない。


 祠稀と有須ならきっとよく分かってくれると思ったから。気付いてると思ったから、任せる の。



 彗を、よろしくね。



 必要のなかったことまで知られたのは誤算だったけど、


 サヤとお母さんと住むはずだったこの家で、みんなと過ごせてよかった。これは嘘じゃないよ。



 今までありがとう。

 元気で。


        凪

―――――――――




――どうして凪が、出ていかなきゃならないんだ。何も悪くないはずなのに。凪の想いは悪くないはずなのに。


「……どこに……っ」


俺を置いて、どこに行ったの。



『彗だけに依存すんなって言ってんだよ』


……違う。違う俺は、俺と凪は、そうじゃないんだ。


ふたりでひとつとか、一生そばにいるとか。俺と凪を例えるなら心臓だとか。


それは、俺が望んでることなんだ。


俺が、凪にしがみ付いていた。凪が、俺をそばに置いてくれた。


なんて愚かで悲しい絆。だから恋にならない。だから愛と言えない。


凪は寂しいから、優しいから、嘘つきだから、俺をそばに置いてくれただけだ。


依存していたのは、俺のほう。


凪が本当に俺に依存していたなら、今頃一緒にいたはずなんだ。


『彗は、祠稀と有須と仲良くしなきゃダメだからね』

『彗を、よろしくね』


凪以外に大事な人が、信じられる人が見つかったんだと。祠稀と有須がいれば、俺はきっと大丈夫だと。


そう思ったんでしょ?

ねぇ、凪。


だけどダメだ。
やっぱり無理だよ。


祠稀と有須がいてもどうにもならない。凪がいなければ、どうにもならない。この寂しさも、不安も。


凪だってそうでしょう?


俺は凪に手を離されることが何より怖かったけど。凪が感じる寂しさは、誰が埋めてあげるんだ。

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