僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ
「俺は凪を連れ戻す」
「……」
落としていた視線を上げると、祠稀が真っ直ぐ俺を見ていた。
……言うと思った。
祠稀ならきっと、凪からの手紙を見てそう決めるんだろうなって思ってたよ。
どうやって? 威光を使うの? 颯輔さんに連絡するの?
見つけたとして、嫌がる凪を連れ戻したとして、そのあとは?
凪と颯輔さんの問題だって言ってるのに、祠稀にできることはあるの?
……何も変わらないでしょ。堂々巡りだって、気付かないの?
「……凪が死んだら、どうしてくれるの」
いろいろな、たくさんの意味を込めてそう言った。
祠稀の行動が逆効果で、凪を追い詰める形になって、それで命を絶つようなことがあったら。
「そんなの……絶対許さないから」
「……っそれはお前が逃げたいだけの理由だろーが!」
「どう思われたってい……っ!」
ガッと胸元を掴まれて、怒りに満ちた祠稀の瞳を睨みつけた。
「バカじゃねぇの? お前の中で凪は、そんな易々と死ぬ奴なわけ?」
「もしもの話をしてるんだよ」
「くだらねぇ。けっきょくお前がひとりでビクビクしてるだけじゃねぇか」
「……祠稀には分からない」
「ああハイハイ! 分かんねぇよ、分かりたくもないね。凪がいなくなって? 不安で怖くて? 出てくれないから電話をかけない。見つかりっこないから探さない。挙げ句死に追いやるかもしれないから、この家でじっとしてろってか? 弱虫の言いわけは聞き飽きたんだよ!」
――バシンッ!と、俺が奮った拳は難なく祠稀の手の平で受け止められる。
「……言いわけ探す暇あんなら他に考えることあんだろー、がっ!」
「!!」
防御しようにも遅くて、掴まれていた胸ぐらを引き寄せられた瞬間、腹部に祠稀の拳が入った。
「……人に拳向けんなら顔より腹狙うだろ。んなことも忘れるぐらい、頭に血ぃ昇ってんの?」
咳き込む俺の頭上から、威圧的な声が降り注ぐ。
「凪がいなくなったのにお前が何もしないなんて、ありえねぇんだよ」
――うるさい。