僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ
「俺や有須なんかより先に、自分が真っ先に行動しなきゃって。お前が、彗が思わねぇなんておかしいだろーが」
――うるさい。
「一生凪のそばにいるって誓った奴は誰だよ」
「……さい」
「こんなとこで言い争ってる暇ねぇんだよ、彗っ!」
「うるさいんだよ!!」
怒鳴って睨み上げた先に祠稀はいたけど、よく見えない。
涙が浮かんで、もう何も聞きたくなくて、ぎゅっ目を瞑って片方の耳を塞いだ。
祠稀と有須には理解できない。だって、俺とは根本的に違う。
「ふたりは誰かが死んでも生きていけるでしょ……俺か凪が死んだって、生きていけるくせに……」
周りに、誰かがいるから。苦しくてもつらくても、誰かに支えられて、這い上がるんでしょ?
「……は? じゃあ凪が死んだらお前も死ぬのかよ。何言ってんの?」
……おかしい?
だろうね。
「そんなことはひとりじゃないから言えるんだよ」
「はぁ!? おまっ……まだ自分がひとりだと思ってんのか!?」
何も聞こえないようにするには難しくて、耳を塞いでいた手をゆっくり下ろした。同時に目も開けたけれど、祠稀のほうは見ない。
「……凪がいる」
「いねぇよもう! 凪の手紙読んだだろ!? 俺と有須はお前を任されてんだよ!」
――頼んでない。
凪が決めたことだけど、俺は仲良くできそうにない。
だって。
「チカと、どうでもいいけど遊志と大雅だって、お前にとってなんだよ! 俺たちだけじゃ不満……っ」
「両親がいるだろ!?」
「――……」
床に向かって吐いた言葉に、祠稀が微かに息を呑むのが聞こえた。
祠稀にも有須にも、チカだって遊志先輩と大雅先輩にだって。どんな形だとしても、どんな関係だとしても。仲が良くても悪くても。
“いる”
ただその感覚があるだけで、どれだけ違うか。
「両親がそろってる人には分からない……」
この埋めようのない寂しさも。年齢を重ねるたびに積もる侘びしさも。
俺と凪が分かち合ってきたものを、理解できるはずがない。