僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ


「……お前には、颯輔さんがいるだろ」


分かってるんだそんなこと。


感謝してもしきれないし、父親になると言ってくれた時どれだけ嬉しかったか。


だけど血は繋がってないという事実が、消えるわけじゃない。


ふとした瞬間の虚無感を、感じずに済むわけじゃない。


「……颯輔さんにだって分からない」


この世に両親が存在しない。その現実から生まれるどうしようもない感情を、分かってくれるのは凪だけで、分かってあげられるのは俺だけ。


俺は、これ以上の絆の繋げ方を知らないんだ。これ以上信じられるものも。


だから失いたくない。


俺が凪を探して、追いかけて、見つけて。もしもそれが間違っていて、傷付ける形になって、凪を失う可能性が1%でもあるなら。俺の足はピクリとも動かない。


「……なんでそうなんだよっ……」


分からないよ。

もう、自分がなんでこんな風になってしまったのか。


でも今日の帰り道、思ったんだ。


公園で無邪気に遊ぶ小学生を見て、俺も小学生の時あんな風に過ごせていたら……。


こんな歪んだ考えはなかったかなって。もっとふつうに、活発で社交的な自分になってたかなって。


思ったけど、今さらどうしようもないでしょ。


「凪が彗を連れてかなかったのは、本当は依存してなかったとか、もう必要ないとか……そういうことじゃないって、なんで分かんねぇんだよ」

「……もういいよ……」


俺なんか、ほっといてくれればいい。


俺のために、そんなに必死にならなくたって。凪がどこかで生きていてくれれば、俺はそれで――…。


「お前がそんなんだからだよ! 凪凪ってうるせぇ! 凪しか信じられねぇなら、彗を俺らに任せて大丈夫だと思った凪も信じてっ……、いい加減にしろよマジで……」


祠稀の詰まった言葉に、ドクンと心臓が脈打った気がした。


「彗が大事だから連れていかなかったんだろーが!」


床を見つめていた俺が、ゆっくりと視線を上げる。鼓動に急かされながら、浮かぶ涙が落ちないように。


「……」

「凪だけ信じて……お前は俺らに任されときゃいいんだよ」

「……何、それ……」


その、切れ長の瞳に浮かんでるもの。


……やめてほしい。
< 586 / 812 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop