僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ
「……お前には、颯輔さんがいるだろ」
分かってるんだそんなこと。
感謝してもしきれないし、父親になると言ってくれた時どれだけ嬉しかったか。
だけど血は繋がってないという事実が、消えるわけじゃない。
ふとした瞬間の虚無感を、感じずに済むわけじゃない。
「……颯輔さんにだって分からない」
この世に両親が存在しない。その現実から生まれるどうしようもない感情を、分かってくれるのは凪だけで、分かってあげられるのは俺だけ。
俺は、これ以上の絆の繋げ方を知らないんだ。これ以上信じられるものも。
だから失いたくない。
俺が凪を探して、追いかけて、見つけて。もしもそれが間違っていて、傷付ける形になって、凪を失う可能性が1%でもあるなら。俺の足はピクリとも動かない。
「……なんでそうなんだよっ……」
分からないよ。
もう、自分がなんでこんな風になってしまったのか。
でも今日の帰り道、思ったんだ。
公園で無邪気に遊ぶ小学生を見て、俺も小学生の時あんな風に過ごせていたら……。
こんな歪んだ考えはなかったかなって。もっとふつうに、活発で社交的な自分になってたかなって。
思ったけど、今さらどうしようもないでしょ。
「凪が彗を連れてかなかったのは、本当は依存してなかったとか、もう必要ないとか……そういうことじゃないって、なんで分かんねぇんだよ」
「……もういいよ……」
俺なんか、ほっといてくれればいい。
俺のために、そんなに必死にならなくたって。凪がどこかで生きていてくれれば、俺はそれで――…。
「お前がそんなんだからだよ! 凪凪ってうるせぇ! 凪しか信じられねぇなら、彗を俺らに任せて大丈夫だと思った凪も信じてっ……、いい加減にしろよマジで……」
祠稀の詰まった言葉に、ドクンと心臓が脈打った気がした。
「彗が大事だから連れていかなかったんだろーが!」
床を見つめていた俺が、ゆっくりと視線を上げる。鼓動に急かされながら、浮かぶ涙が落ちないように。
「……」
「凪だけ信じて……お前は俺らに任されときゃいいんだよ」
「……何、それ……」
その、切れ長の瞳に浮かんでるもの。
……やめてほしい。