僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ


俺は先にそこから抜け出すけど、凪がいなくてもいいなんて思えないんだ。


凪がいるから、祠稀と有須にもいてほしい。4人で時を過ごすことが、俺の望み。今の俺が感じる、いちばんの幸せだから。


「……」


静かに零れ落ちる涙を我慢して、床についていた手に力を入れた。


立ち上がって鼻を啜り、祠稀へ目を向ける。


怯えも、不安も、弱さだってまだ残ってるけど、勇気を出さなければ。


先を見るのは大事だ。だけど未来ばかり見て怖がっていたら、今ここにあるものを見失ってしまうかもしれない。


今しかできないことが、もう二度とできなくなるかもしれない。


それは嫌だ。そんな自分は、もっと嫌だ。


……ひどいことをたくさんした。たくさん言った。


必要ないと思って、俺たちの関係なんて壊れてもいいと。何度も祠稀を怒らせた。何度も有須を泣かせた。


今さらで、自分本位だと分かってる。都合良くて、ずるいと分かってる。


だけどふたりがまだ変わらずに、そこで待っていてくれるなら。温かい手を差し伸べてくれるなら。


頼っても、いい?


もう本当に、俺にはどうすることもできなくて。今を、どうにかやり過ごすしかなかったんだ。


――『あたしが悪いの? この世に愛しちゃいけない人なんているの?』


……いないよ。そう言ってあげられなかったのは俺で、凪は悪くないと言えなかったのも俺。


きっと必要な言葉で、嘘でも言ってほしかった言葉だと思うのに。


凪が大事だ。誰よりも何よりも大事だけど………俺は、颯輔さんより尊敬する人はいない。


どうして、どちらも同じくらい幸せになれないんだって何回も考えた。


俺がどちらか片方と関わってなければ……そんなことすら思えない。思いたくもない。


大好きだから。救われたから。俺をこの世界に留めてくれた人たちだから。どちらか一方の幸せを願うなんてできない。



「……祠稀」


だから。あのね。

遅くなったけど。


「……大丈夫だから、言え」


――今流れた涙で、もう最後にする。ひとりで抱えて流す涙は、終わり。



「助けて……っ」




凪が心から笑えるための力を、貸して。



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