僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ
頑なに俺と有須を拒否する凪と違って、彗はどこか苦しげで申しわけなさそうだった。
その今にも崩れそうな感じは、俺たちふたりの気持ちが鬱陶しかったんじゃないと彗が言った時に気付いたんだ。
「……」
小さく溜め息を吐いて、深々とソファーに身を委ねる。
――気付いて、分かってるつもりだった。
彗がどれだけ人と関わってこなかったのか。その中で心を開いたのは颯輔さんで、それ以上に凪だけであることも。
……まさか両親が出てくるとは思ってなかった。
彗と凪を強く結ぶものは、似た境遇からくるものだと思っていた。
俺にとって似た境遇の奴なんて威光に入ってから五万と見てきたわけで、だから俺たちには理解できないと言われるたび腹が立った。
俺がヒカリと初めて会った時、自分は悪い意味で特別だと悲観的に思っていたと気付かされたように。彗も凪もそうなんじゃないかって、心のどこかで決めつけていた。
ふたりを強く結ぶのは、ふたりでしか共有できない感覚。両親がいないという感覚なんて、俺に理解できるわけない。
有須にとって親はいて当たり前だろうし、無条件に愛してくれる存在で間違いない。
俺の親父はもう戸籍上では赤の他人だけど、この世に存在はするわけで……親父なんかいてもいなくても同じだろと考えてみたけど、違った。うまく言えないけど、違う。
きっとこの不透明な気持ちが、彗と凪ははっきりしてるんだと思う。
「割り込めねぇわけだよ……」
湯気の立つマグカップを持ってきた彗に向かって呟くと、眉を寄せられた。
「まあ関係ねぇけど?」
マグカップを受け取りながら言うと、彗は反応せずカーペットの上に腰かけた。
――もういい。関係ないんだそんなことは。理解できないと分かった上で、彗が頼ってきたんだから。
長いことそれを求めてた。
俺自身が頼ってほしいという想いはあったけど、ひとりで抱えきれないものを抱えようとする彗が、自ら誰かを頼ることを覚えてほしかった。頼ってもいいんだと気付いてほしかった。
そしたらきっともう少し、生きるのが楽になるんじゃないかと思ったから。