僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ


「……颯輔さんは、寂しいんですか? 凪に頼ってもらえないことが」


涙を流しはしなかったけど、今日見た颯輔さんの笑顔は寂しげなものが多かった。


彗には優しく微笑んでいたのに、凪の話はいつもどこか苦しげだった。


「これでも、父親だから」


寂しさを抱えていたのは、颯輔さんも同じか。


雪のように積もっていくそれは、表面を溶かすことはできても、時間が経って凍ってしまった部分は、俺らにはどうしようもできない。


凪の寂しさがどれだけのものかなんて、想像つかねーけど。


「……俺らはまだ凪といたいから、逃げませんよ」


表面を溶かすのが俺らの役目なら、中心は颯輔さんの役目だ。


「負けないように頑張ります」


参ったな、と言うように笑う颯輔さんを見て、大丈夫だと感じる。


「ありがとう……俺の背中を、押してくれて」

「……颯輔さんのためじゃない。自分のため。俺は、凪が好きなんで」


眼をまん丸くさせたのは颯輔さんだけじゃなく、開け放したドアに寄りかかっていた早坂もだった。


俺はそれを見て、フンと鼻で笑う。強気に、余裕をかまして。


「凪が俺にブチ切れるとこ、見せてあげますよ。アイツすげー口悪いから、驚きますよ」


廊下を歩き出そうとする俺に、颯輔さんは声を出して笑った。


「楽しみにしてる」


満面の笑顔でそう言って、ドアは閉められた。



――大丈夫。後悔なんかしねぇ。


すっかり冷え切った空気の中で、俺は白い息を吐いてから、リビングへ戻った。


「風呂は?」

「あ、入る!? じゃあ準備してくるねっ」


キッチンにマグカップを下げていた有須は、慌ただしく風呂場へと向かう。


「……祠稀、王様のようだね」


リビングのソファーに腰かけていた彗にそう言われたけど、「まぁな」と適当に返事をして隣に座った。


「何、凪にメール?」

「……うん。今さらな返事だけど」


部屋に取りに行ったのか、テーブルの上には小さな箱が置かれている。その中にはたくさんの、封筒。


凪が送り続けた手紙の返事か。

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