僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ
「俺も1通くらい送っかな」
横から彗の視線を感じると同時に、リビングのドアが開いた。
「祠稀、あと10分もすれば入れるよ!」
「おー。サンキュー」
俺と彗が座るソファーを通り過ぎ、有須は近くの床に腰かける。無言の中に、彗がカチカチと携帯のキーを打つ音。
「……あたしも凪に、返事しなきゃなぁ」
「メールでも来てたわけ?」
「え!? あ、うん! ちょっと!」
口に出してたのに気付かなかったのかよ……つうか、なんて来たのか教えろ。
笑顔で流そうとする有須にまぁいいかと思って、ソファーの背もたれに寄りかかる。
「そういや、大雅と遊志にも連絡しなきゃいけねーんだった」
「……颯輔さんから連絡きたらでいいんじゃない?」
「それもそうだな」
彗の言葉に返事をして、時計を見上げた。もうすぐ日付が変わって、長い1日が終わる。
……そううまくいくとは思ってない。だけど、それでも。
「今、後悔はすんなよ」
唐突に言った俺に、彗はメールを打つのをやめて、有須は見上げてくる。
「凪にとってどれだけ迷惑でも、憎まれても恨まれても、自分で決めたことだ。後悔すんだったら、全部終わってからにしろよ」
自分に言い聞かせてるようなもんだったのに、有須は俺を見て微笑んだ。
「大丈夫だよ。それに、もし全部終わって後悔したとしても、きっとまた別の道を考えるんじゃないかな」
ポスッと、右腕に重力がかかる。見ると、彗が俺に寄りかかりながら、携帯を見つめていた。
「……祠稀が飛べなくなったら俺が運んであげるから、安心して」
「は? ……誰に口聞いてんだよ」
「んー……兄貴?」
ああ、ハイハイ。分かったよ。クソ……何が兄貴だ。
上目遣いに俺を見たあと、彗がくつくつと含み笑ったのは、きっと俺が悔しそうに頬を染めたから。
俺が思ってるよりずっと、ふたりは覚悟を決めている。
「重いんだよ!」
「……ひどい」
俺に突き飛ばされた彗はソファーに横たわって、そう言いながらも笑う。有須も、俺も、凪は戻ってくると信じて。