僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ


◆Side:有須


冬空の下、スカートの下から流れ込んだ冷気に体を縮こませる。


「なぁぁああぎぃぃいい!!」


凪とマンションを出てすぐ目に入ったのは、太陽の光を浴びてより輝くオレンジ色の髪。


「あーっ! ホンッッマによかったぁああ!!」

「ちょ、何、怖い!」


走ってこちらに向かってきた遊志先輩に、凪は両手を前に出したけど無意味だったみたい。


抱き付かれてしまった凪は諦めたらしく、遊志先輩にされるがままになる。


「めっちゃ心配した! もうホンマに逢えんくなったらどないしよ思て! よかったぁ~凪~!」

「うわ……朝からウゼー……」

「ああっ! 祠稀!」


マンションから彗と出てきた祠稀を指差す遊志先輩は、凪の両肩を掴んで泣きそうな顔をした。


「凪、祠稀の奴ひどいんやで! 凪のこと逐一知らせる約束しとったんに、1回も来ぃへん! 凪が帰ってたんも知らせないって……どういうことやねん祠稀ぃぃい!」

「教えたじゃねぇか、今朝」

「大雅が連絡せぇへんかったら絶対言わんかったやろ! なんなんホンマ! 鬼か! ちゅーか彗、欠伸すなぁあああ!!」


地団駄を踏む遊志先輩にあたしは苦笑して、祠稀は心底めんどくさそうな顔する。


「……遊志。ごめんね、その、迷惑かけて」


凪が申しわけなそうに謝ると、怒っていた遊志先輩の表情がみるみるうちに崩れていった。


「ええねん凪は! また逢えただけで……アカン、泣く……大雅、ハンカチ」


左手で目を押さえた遊志先輩はサッと右手を横へ出したけれど、何も起こらない。


「……大雅なら、最初っから1歩も動いてないけど」

「嘘やん! ちょ、大雅!? なんでそこに……何その、俺は無関係みたいな感じ! 他人のふり、うまっ!」


マンションへの入り口から数メートル離れたところで携帯をいじっていた大雅先輩は顔を上げ、なんとも言えない目でこちらを見ていた。


「なんなん、その目! いいから早ぅこっち来ーや!」


……ふたりとも、相変わらずだなぁ。
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