僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ


「送ったよ!」

「あ、ありが……フハッ! 有須ですって! 分かってるよ!」


すぐに届いたメールのタイトルが面白かったのか、凪はけらけらと笑う。


「ん、みんなのも入ってる。ありがと」

「赤外線のほうが早かったかな」

「ううん。大丈夫、コピペするだけだし」


凪が真新しい携帯を操作するのを見ながら水を口に含むと、スタッフが出来たての料理を持ってきた。


あたしの前にカルボナーラ、凪の前にハンバーグセットが湯気を上げながら並ぶ。


「ごゆっくりどうぞ」


伝票を置いて踵を返すスタッフに頭を下げ、カトラリーケースからナイフとフォークを探した。すると、凪が密かに笑った。


「どうしたの?」

「や。なんか、あたし今、フツーの高校生っぽいなーと思って」

「……ふつう、」

「うん。携帯に友達のアドレス登録して、休日に出かけて、こんな風にご飯食べて。なんとなく思っただけなんだけどさ」


携帯を置いた凪は、あたしが持ってるナイフとフォークを微笑みながら受け取る。


自分のフォークも取り出し、小さく「いただきます」と言った。


くるくると銀色のフォークに巻かれていくパスタ。濃いチーズの匂いが鼻を掠めて、それを口に運ぶ前に再び顔を上げる。


「凪の……ふつうって何?」


ちょうど切ったハンバーグを口に入れた凪は目を丸くしてから、フォークを下ろした。


「んー……なんで? なんか悩み事?」

「え! ううん! そうじゃなくて……凪が思うふつうって、なんだろうなぁって」


聞きたいと思った。何より今、凪がフツーっぽいと感じたことは、凪にとって幸せなことなのかな。


「ふつうねー……。想像上っていうか、抽象的だよね。頭では理解できるけど、目で認識できるものじゃないって感じ」

「……」
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