僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ
「そんな抽象的なものに、具体的に存在してる自分が、なれるわけないんじゃない? 近付くことはできても、どこか不完全っぽいし。多分、あたしのふつうは、自分の理想」
「――…そっかぁ」
「なんとなくだけどね」と付け足した凪は再びナイフをハンバーグに通して、食べ始める。
やっぱり凪は、どこか独特な話をするんだな。
あたしとも、彗とも、祠稀とも違う感性。それは凪にとっても同じかもしれないけど。
だからこそ、みんなの言葉はストンと胸に落ちるのかな。自分に持ってないものを持ってるから。
否定してしまう時もあるけれど、惹かれる部分もある。だからあたしたち4人は性格がバラバラでも、一緒にいられるのかな。
似てると思う部分も、全く似てないと思う部分もあるのに。
「人って不思議」
フゥ……と溜め息を吐くと、凪は意味ありげに笑って、「冷めるよ」とカルボナーラを指差した。あたしはフォークを握り直して、パスタを絡め取る。
口の中に拡がった風味はとても濃厚で、食べ終わった後も、ずっと舌に残っている気がした。
ファミレスを出て、時刻を確認すると午後2時過ぎ。休日のせいもあって、街は人で溢れてる。
「あ、そういえば凪、大雅先輩たちにもメアド教えた?」
「まだ。あとで、一斉送信しとくよ」
家に帰ってからってことかな?
目的地も分からぬまま歩き出して、考える。
きっと遊志先輩も大雅先輩も、すぐメールを返してくるんだろうな。
この前、大雅先輩がメアドを教えてと言っていた意味を、凪は気付いてないはず。そう思ったら笑みが零れて、あたしは凪の名前を呼んだ。
「この後どうする? もう帰る?」
あたしは用事がないけれど、凪はあるかもしれない。
だけど凪は首を振って、なぜか「ごめん」と謝った。