空をなくしたその先に
「逃げようたって無駄だぞ?

女の子連れてちゃ、そう速くは走れないだろうがな」


最初に口を開いた男が、ダナを見ながら言った。

値踏みするように視線が上下する。

足手まといになるのは自分の方だと思ったが、ディオは口は出さないでおいた。


「逆らわなきゃ痛い思いはしないですむさ……。

ちょっとしたお楽しみはあるかもしれないが、な」


ダナの眉毛が跳ね上がるのを、ディオは見た。

危険信号。

彼女も
『ちょっとしたお楽しみ』
の意味がわからないほど、

世事に通じていないわけではないらしい。


「つつしんでお断りしますって言ったら?」


腕を組んで、顎をつんと持ち上げながらダナは返す。


「痛い思いはさせたくないんだがなあ。

素直に言うこと聞いてくれた方がこちらとしても助かるんだが」


ナイフを持っている方の男が、なだめるような口調で言う。


「お・こ・と・わ・り!
ディオ下がって!」


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